氷コップは明治・大正の時代を華やかに彩ったガラス器である。その魅力は多様な技法を持ちいた装飾にあります。厚いガラスに白線を巻き、金具で引っ張り上げて波状文をつくる「かきあげ」波に千鳥、花に蝶など和風文様を表現した「乳白ぼかし」などの文様が夢のような美しさを作り出しています。それらは、近代工業とはほど遠い手工業的な工房の生産品が主であったからこそ、さまざまな技法を生かして、熟練、機知、意表、工夫といった言葉が似つかわしい多彩な意匠を生み出しました。ヨ-ロッパ製のガラス器の形態や意匠も、庶民的な解釈によって日本的な雰囲気を持つものに変様させて、思いのままに色ガラスで洒落ることが出来ました。氷コップはかき氷に用いられたものであるがフル-ツ・アイスクリ-ム・みつ豆などを盛る洒落たうつわとしても使われました。明治後期に入ると、盛んになった人工的な氷の生産に応じ、多くの店の注文に合わせ千変万化の氷コップが装いを凝らして登場しました。その頃には、シンプルなプレス成型による氷コップもつくられるようになりますが、これらは一点70銭前後で売られ高級品でした。普通の吹きガラス(人口吹き)の氷コップはそれに比べ安価でしたが、上質のうつわには、ヴェネツィア製と見粉うほどの完成度と技巧の粋を示すものも見られます。前近代的な熟練の手わざと、過ぎ去りし時代の都市の雰囲気、大正モダニズムの薫りがガラス生地の中に潜んでいるから氷コップは美しい。光の中で万華鏡のように浮かぶ氷コップは世代を超えて様々な思いを呼び起こしてくれます。
氷コップの「すかし文様」は、蛍石、フッ化ソ-ダを混ぜたガラスでコップを成型し、熱いうちに文様をつけた鉄の割形にはさみます。型の内側の出っ張りに熱いガラスがふれて急冷され、凹部は徐々に冷えるため、形の凹部が乳白になり、製法によってはその逆になります。「糸巻き文」は成型した熱いコップの器面にガラスの白線を一定の間隔で送って巻き付け、あぶってつくります。また「かきあげ」と呼ばれる氷コップは、熱いガラスの表面に乳白のガラス棒を溶かしつけ、全体をあぶって包丁の先のようなところで文様を引き上げるように、まさしくかきあげて、波状文をつくります。多彩な意匠で様々な文様の氷コップがつくられました。
朝顔のような形の本体に足のついた【ラッパ型】西洋のシャ-ベットグラスに似た【腕型】腕型より狭くて深く足の短いワイングラスのような【夏目型】リン型とも呼ばれる反返りのある【ベル型】の大きく4つの形状に分けられます。
製法は、「吹きガラス」と「プレスガラス」に分類されますが、吹きガラスも職人が空中で吹き棒に息を吹き込みながら成型をする【宙吹き】吹き棒につけたガラス玉をあらかじめくり抜いておいた型に差し込み息を吹き込み成型をする【型吹き】
【氷コップ/アイスクリ-ムコップ】
現在、フォトギャラリ-に掲載しております写真は、大門蔵内の仕分作業中のためまだ一部しかアップされておりません。作業が完了したものから順次アップして参りますので、大変に申し訳ございませんが全品掲載まではもう暫くお待ちください。
詳しくは「善光寺大門蔵
「洋燈考」の著者大谷勝治郎氏からの手紙が、先日5代目篠原基國の遺品のなかから見つかりました。大谷勝治郎氏が長野オリンピック観戦に長野に来られた際に当店のウィンドウに目を止め突然来店をされました。翌春(1999年4月)ご丁重に下さった御礼のお手紙です。
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洋燈蔵 蔵書:「洋燈考」
本著「洋燈考」は、洋燈、石油ランプの歴史・種類・体系を知るうえで貴重な一冊です。当HPでも多くのものを引用させていただいてます。
abn長野朝日放送「いいね!信州スゴジカラ」12月19日放送【書道のまち長野市篠ノ井の書在地】で当店所蔵の川村驥山扇揮毫「福喜受栄」額と貴重な驥山扇のプライベート8mmが当店元会長夫人のインタビューと供に放映されました。
看板&家宝
「川村驥山扇 揮毫」