「週末の和ガラス」 (平成14年
1,郷愁をさそう 明治の初期に近代的なガラス工業技術が西欧から導入されましたが、それ以降徐々にその製造技術も発達し、明治後期から大正時代には模倣から脱して色彩豊かな氷コップなど日本独自色が表れるようになりました。またそれと歩調を合わせるように、一般の家庭にも様々な実用品が普及するようになりました。これらは皿、コップ、小鉢やボウルなどの食器類からデカンタ-、アイスぺ-ル、花瓶、さらには電笠、ランプやガラス絵に至るまで幅広い裾野を持っています。これらには共通して、発展途上の技術とあういまった素朴な和ガラスの温かさが感じられます。
2,対象を気軽にしぼれる いろいろな国で作られて来た様々な洋ものがラスは、その歴史の古さとあいまって圧倒的に数が多く、日本だけに限定された歴史の浅い和ガラスの比ではありません。多数の洋ものの中から実際に自分の目で見て探すとすれば、やはり現地に行かなければなりません。そのための予備知識も、多くは日本から仕入れた限られたものになるでしょう。「自分で好きなものを集めること」が、変わることのないガラス集めの基本姿勢だとしても和ガラスの世界では解説書を読むことはもちろんのこと、これらを専門に扱っている業者さんを通して裏話などを聞く機会に出会えることも多いのです。こうした想像を広げる周辺の余地があればあるほど、愛着を持ってガラスを眺めることができると思っています。
3,今に生きる骨董 刺身皿、徳利、素麺鉢などは、同じ用途に利用される現在でも形や配色をはじめとして、使うのに何ら違和感を感じることはありません。むしろ適度な重量感に安らぎさえ覚えます。昔、おじいさんやおばあさんが実際に使ったことがある氷コップや、子供相手の駄菓子屋さんに置いてあった「飴屋瓶」などは、今でも飴やお菓子入れとして使えます。実際に使わないでインテリアとして飾る場合でも、不思議と日本家屋にマッチし、くつろぎの場を提供してくれます。電笠をつけた電球を灯すと蛍光灯では味わえない優しい光に包まれ、何やらロマンチックな竹下夢二の世界が出てくるようです。
4,名工たちの技 和ガラスの制作年代を特定することは難しいと言われていますが、時代時代を代表するデザインやガラスの質はこれを推定する有力な方法のひとつです。また、直接的な手がかりとして、ガラスにイニシャルが刻印されている場合もあります。書物などに無紹介されている有名なカットの黒田貞松や鈴木清太郎、プレスの糸永新太郎や野々村藤助などの作品を一般の骨董市でもみつけることが出来ます。こういった名工たちの活躍した時期は書物などにも記録されています。
5,習うより慣れる 和ガラスの歴史は比較的浅いもので、また解説書なども少ないことなどから難しく考える人もいらっしゃるかもしれません。高価な江戸がラスほどではないけれど、マニアものとして今では高値で安定してしまっている氷カップは別としても、明治以降の和ガラスには値段も比較的安くて手に入るものが、まだまだたくさんあります。「本当に古いものは何だろうか?」とか「将来値上がりするんだろうか?」などと雑念に左右されることなしに、自分なりにお気に入りのガラスを手にすることから始め、目を肥やしていったらどうでしょうか?体力と気力、さらに根気があれば、きっと自分の感覚にぴったりのガラスを見つけることが出来るでしょう。
【参考文献】 「週末の和ガラス」 河本慶子著
「週末の和ガラス」HP
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「週末の和ガラス」
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DESIGN
WEEK
令和4年4月3日~6月29日
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阿弥陀如来の右手に結ばれた金糸が五色の糸になって伸びていき、さらに白い糸になって回向柱に結ばれ、触れることにより前立本尊とつながり功徳が得られると言われます
新型コロナウィルスの影響もあり、当初令和3年春開催の予定でしたが、令和4年春、いよいよ幕が開けます。
また、感染予防のため通常57日間の期間を88日に延長し分散参拝を促します。
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信州善光寺
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岡本文一(おかもとぶんいち)
早稲田大学卒業
東京ガラス工芸研究所
明星大学教授、名誉教授
玻璃器蔵 蔵書
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